金曜に学校を休んで、木曜の夜着、土曜夕方出発というすごい一瞬だけど上海行ってきた。短い滞在だったけど、なんか密度が濃かった。

 今回の主目的は演奏会。昔の会社で関係があったヴァイオリニストがリサイタルというので。若い女の子なんだけど若干気難しいというか根暗な感じで、非常に巧いんだけどその性格とぴったりなむずかしめな演奏。ビジュアル的にも(それを言うのはかわいそうだけど)あんまり華がない。だから売れない。
 そして今回は選曲が輪を掛けて難しくて。彼女自身が多分選んだんだろうし、彼女の持ち味が多分とても生きてる選曲だろうとは思うんだけど、一目見て「あーこれ売れないな」と別に業界人じゃなくてもちょっとクラシックかじってればわかる感じ。でも僕の好きな曲が入ってたのと、何度か話した彼女の印象がよかったのとでまー「買って応援」とはいわんけど、と言うことで、まあまあとにかく買って行ったのです。あ、いま書きながら思ったけど俺中国でチケットちゃんと買ったのって初めて…では多分ないにしろ相当珍しいのでは笑。大体関係者からの配給があるからねえ。

 彼女の演奏はすばらしかった。やはり巧い。ぞくぞくする。ただ伴奏がちょっとなーという場面がちょいちょい。あと、どう考えても本当に高いレベルでの集中力が要るあの曲を演奏するにはこの聴衆の質は正直つらいだろうな、と感じました。絶対的な沈黙から音が立ち現れるなんて表現は無理っすよ、この騒がしい聴衆では(でも見た感じかなりアッパー層だったんだけどね)。
 あと聞いた話では、当日朝ピアノが何かの手違いで調律されていなかったとのこと。そのせいでリハーサル開始が押したりしていたようで、ちょっとどたばただった模様。その辺の影響なのかピアニストの腕なのか正直わからないけど、ちょっと伴奏側が足りないなと感じたのは事実。ただ全体としてはすばらしかった。
 あ、終了後舞台裏でちょっと挨拶した時に会うの超久しぶりなのに名前呼んでもらえて(確実に僕の友人であるマネージャの差配なんだけど)ちょろっとうれしかった…というか動揺してちゃんと「すごかったよ!」っていえなかったのがちょっと後悔かな。


 そのほかの出来事 in 上海。今回は思いがけず友人カップルの家に泊めてもらえたので、まず木曜夜はその友人と親子丼。最近の上海どうっすかねえ、とか。駐在が若くなった、というのと出張者が減ったというのを言ってました(だから水商売が儲からんのだと)。
 金曜がそのコンサート当日だったんだけど、家主が仕事にいくのにあわせて出発し、まずはいつもの小笼包屋で朝ごはん。そしていつでも上海にきたらファーストプライオリティで会う由子先生と合流してまずは楽譜を買いにm50という芸術区へ。僕が長年探していた中国民族楽器の楽譜がついに出版されたのを上海にいく数日前に発見して、店に電話して在庫を確認した上でのご来店でした。この店の横にはカフェもついていて(というか恐らくカフェメイン営業)とても雰囲気がいいので、その目的の楽譜や、そのほかのCDやらなんやらを買い込んだ後はそこで休憩。
 で、話してたらなんかあっさり爆弾発言が。「あたし来年3月帰る」え…。あなたはわりとずっと住んでる人だと思ったのになあ…ということで上海のコアの人がまた失われてしまうのです…なるべく何回かは会いに来ようと思ってるけど。後からさらっとまた投げられた爆弾によると彼女は結婚するらしく、完全に田舎に引っ込むモード。この先上海よりよっぽど会いづらい感じになっちゃうのよね。かなしいな。
 最近学校ともめて辞めたり色々してたようなので、とても意外ではありつつ、そうか、とも思えるような感じもして...僕は彼女と多分とても仲がよいけど、それでもやっぱり離れた距離で暮らしている以上会った時にあまり後ろ向きな話はしたくないだろうなとは思うし...とかなんとかいって、やっぱり複雑ですよ内心。かなしい。

 まあまあそんな話はしつつも一服後、今度はお気に入りの陶器屋へ。景徳鎮の若手作家の個性的な作品を非常にお値打ちな価格で売っている店です。何故かあんまり知られてない気がするんだけど、僕はこの店のかなりファン。今回こうやって住むわけだし、多分日本に帰っても一人暮らしするから…と自分に言い訳をしてここでお買い物。1万円ちょっとかな。この店の商品はちょっと値段上げて日本で売っても商売になるんじゃないかなと思ってるんだけど。

 結構買い込んだあとは、近くのホテルに入ってるステーキ屋でランチ。なかなかビッグランチでした(そこそこ美味かったけど、高いよ…ご馳走してもらってるけど笑)。ステーキ食べたら死んじゃうので、ローストチキン。

 レッスンにいくという先生と別れ、今度は昔の同僚の会社に。この「同僚」はなんか日本語もぺらぺらのシンガポール人で、前の会社の上海事務所の代表をやってた人。普通の人が想像する「中国人キャリアウーマン」の典型という感じで、人の1・5倍くらいの速度で話し(外国語である日本語でもそんなかんじ)、1.5倍の速度で動く。有能な人だとは思うんだけどかなりアグレッシブで、たまに燃えすぎてやっかい。要するに、話してると疲れる人なんですわ。
 彼女と話すとホント疲れるもんで僕は彼女が僕のいた会社を離れてからあえて連絡はしてなかったんだけど(旅行で短期間遊びに来てる時にあの嵐のような人に会いたくない)、今回は心に余裕があるし、チャレンジしてみようと思って。で、事前連絡自体は取れたんだけど、残念ながら入れ違いで僕が上海にいるときには彼女はシンガポールに戻っているということで、会えず。でも代わりに何故か彼女の今の部下と会って、といわれたので会社訪問したのでした。
 部下の子にしたら「なんで私この道化さんて人と会うんだろう」って感じだったんだろうけど、まあオフィスに行ったら色々相手してくれて、最近の会社の状況とか業界の話とか、色々。
 僕と親しい元同僚の直接の後輩とのことで、「同じ先生に師事してたけど私が入学したときには彼女は卒業していたのでその時は会ってないんですよ」って君まだ本当に若いのね。可愛らしい子でした。あ、以上の会話は英語な。中国語はとりあえず笑って回避しといた。

 1時間くらいだべったあと「またくるねー」で、近くのよく行くマッサージ屋で施術してもらい(相変わらずちょい高いけどそれでも技術雰囲気ともにとてもよろしい)、そして僕が誘った一番親しい元同僚Pちゃんとまずは軽く、ということでアップデートしながらピザ。彼女はいまはラジオ局にいて、クラシック専門チャンネルで番組企画とかをやってます。
 いつものように色々話をしたんだけど、なんかいつになく親密な感じだったなあ…という謎の感想を抱きました。ま、僕この子好きなんだよね元々。もう一人の元同僚はかなりのお嬢様なのでたまに「うへえ」とか思うけど(仲よいけどね)、この子はもう少し普通の家っぽくて、飢えもあるし、いつも色々考えてるし(外見もキュートなのよ)。
 勿論僕らは基本的に英語コミュニケーションなんだけど、彼女は意地悪にもちょいちょい中国語を混ぜてきて、僕もちょいちょい返したり。もう知り合って4,5年経つんだけど、まさか中国語で話をする機会があるとは、というのが本当に。
 んでまあぺらぺら業界のことを食っちゃべってたら隣から謎の割り込み。なんとどこかでリハーサルを終えたばかりの韓国人指揮者だったらしく「来週俺コンサートやるから来てよ」とお誘いを受けたりしました。とりあえず聞いてた内容を彼が世界で言いふらさないことを望みます笑。

 で、コンサート聞いてこれで終わりかと思いきや実はもう一人、今超売れ売れのフリージャーナリスト・変人である某氏と飲むことになって。やーなんでこんなスケジュール詰まるんでしょうね。彼は今日本の週刊誌に結構な数の体当たり中国ものの記事を書いていて、それが面白いんですわ。話題の人、といっても僕は上海くる度に毎回会ってる謎の仲のよさなのでだからどうしたって話なんだけどね。
 しかし入った店が怪しかった。なんかしょぼそうだから安いでしょ、ってんで入ったら恐らく闇営業のガールズバーっていうか、なんだあれは。表向き普通のバーで、別に値段は高くないんだけど注文するときに「横で飲んでいいかしら」って聞かれるわけよ。僕らは当然不要だと言ったんだけど、まあそれで飲まれるというのと、これは推測だけどやたら店内の一部の部屋が暗かったんで、追加料金で色々あるんやろうね(といっても最近KTVなんかも結構高いと聞くし飲み物の値段は普通だったのでどうなってるのか想像つかないけど)。…というシュールな中、男二人でたまに来る営業を避けながら淡々とこちらもアップデート。今度は中国の婚活パーティに潜入するらしいです。

 で、24時近くになって家主から「帰って来い」コールが入ったこともあり解散、帰って家主とまた飲みながら色々話してたら2時くらい、で長い日は終わったのでした。再度まとめると朝ごはん→楽譜+カフェ→陶器→ランチ→会社訪問→マッサージ→ディナー→コンサート→飲みで合計4人(+家主)とあってた事になるんですね。

 上海、恐らく一年ぶりに来たんですが、やっぱ中国じゃないね。広州に住んでさらにそう感じた。異界。西洋の人や文化が違和感バリバリなのにそこかしこにあって、別に誰も疑問に思ってないというのがなんかホント変。旧租界なんかは町並みだって欧風だし。でもそれが面白いんだよね。今回は会った人がいつも会う面子なのに楽しかったことも含め、上海好きだなあ感がさらに強くなったのでした。あ、お世話になったお宅で上海蟹まで頂いちゃったよ。しかも謎に朝ごはん。

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