2日目。

 相変わらず行き違いで会えない人続出で悲しいなーと思いながら早起きして、上海音楽庁へ。上海音楽庁は旧南京シアター、人民広場というド中心部からちょっと南に下った公園の中にある、歴史あるホールです。この日の出し物はまあ秘密をご参照。

 終了後は主催の会社に勤めている元同僚Pちゃんとランチ。この子と会うのも2年ぶりとかかな?「お前中国語やるって3年前から言ってるのに全然うまくなんねーなー」などといじられていました。主催の会社は放送局で、というわけでコンサートも生中継されていたようです。中国のコンサートにしては(無礼)静かだったけど、たまに電話とかなってたしなー、それでいいのか生中継。

 ランチでの話題は、こっちも多岐にわたってました。この子は確か音大でアコーディオンを修めた後建築事務所に行き、んでうちの会社へ。そしてその後も建築事務所に戻ったのでそっちの業界で生きていくのかな?と思っていたらこっちの業界に戻ってきたという感じで、謎です。昨日会ったCに比べると考え方も大人…というかCちゃんお嬢様すぎやねんな、多分。大人というより現実的というやつなのかも。
 彼女によると、建築事務所はあまりにも仕事の決まり方が乱暴なんだそうです。メールやエビデンス、契約書ではなく、酒の場、口約束、人脈みたいなものがルールで、しかもクライアントの金の払いもちゃんとしてないから不安定で、わけがわからんと。「ワタシお酒あんまり飲めないから結局仕事もとれないしね~」だそうです。西洋系の会社行けばもう少しルールがしっかりしてるのでは?と聞いてみたけど、あんまり変わんない、とのことで。

 あとは願望としてはPR会社みたいな所に行きたいというのもあるみたいだけど、それにしては自分のスペックじゃ足りんと。友達の25歳だかの男の子はアメリカ系のPR会社(もちろん僕も知ってる)に勤めてて月給2万(日本円で30万くらい)以上もらってるのにー!って。上海で外資だったら1万はもらっててもおかしくはないけど、その年で2万はすごいね。でも若くても多少能力有ればそうやってがっつりもらえるってのは、いいね。日系だったら多分はらわんでしょうな。
 何話したかなあ…業界全体の話とか、共通の知人の動向なんかは、もちろん。ああそうそう、面白かったのは、CもPも二人ともうちの現在のオフィスのシェフ(!)の事を知ってるということ。元々何してた人かよくわからないんだけど、うちのオフィスにはシェフのおじいちゃんがいて、なぜかスタッフで唯一日本語が喋れるのです…。社長もしゃべれないのに笑。なんか他にも色々隠してそうだよ、というもっぱらの噂。別に業界にいりゃうちの今のスタッフの事知っててもおかしくはないけど、なぜシェフが一番有名かっていうねー。ちなみにオフィスにいる猫に日本風の名前を付けたのも彼だとか。

 彼女と別れ際に名刺頂戴、って言ったら「大方の中国の会社と一緒でねー、うちの会社も名刺には金をかけるのよ、人件費はケチるのに」とか言いながらくれました。確かに中国の会社の名刺は一般にわりといい感じの素材のものが多いですが、多分それは紙と製作費が安いからです…。

 ま、いいんだけどね。そして次は現地の日本物産とかの輸入してる会社にいつのまにか就職していたにーちゃんとお茶。以前来た時にアンさんが連れてきた人で、その時は留学生だったんですが、職を得たようで。まあ別に大した縁じゃないしひとりでぼーっとしてるのもな、という程度で呼び出しましたごめんなさい。ま、ひとりで意味もなくタラタラしているよりは現地で暮らしている人と雑談でもして色々吸収しておいた方がいいかなと。
 しばらくだべって、なぜかカレーラーメンの店へ。といっても日本のではなく…あれはなんだったんだ。よくわからん。まあ、おやつとしてはまあまあでした。しかしだべったとこでうっかりディスプレイ見て食べたくなってチョコケーキ頼んじゃったけど結構食えるレベルでびっくり。

 そうそう、そういえばこの国、まだ共産主義なんですよね。ホントそういえば。普通にぶらぶらしてる限り何が社会主義なんだかさっぱりわかりません。わかりませんことにいまさら気づきました。私有じゃないものって何があるのよ…いや、土地とか50年なのは確かなんだけどさ、別に普通に暮らしてたらあんまり関係なさそうだし。しかし50年経つとどうなるのかな、例えば上にマンション建っててそこの権利を40年目くらいで買うと結構地面のオーナーが途中で変わるというようなことになる可能性もあると思うんだけど、新オーナーの意のまま、とかになるのかな。
 
 順番逆だけど香具師の話。今回のそんなに収穫が多いとは言えなかった上海の旅でのもしかしたら一番のキーワードは「香具師」ということなのかなと。これは僕の結構好きな、博報堂の小沢正光さんが「プロフェッショナルアイディア」という本の中で似たような事を書いていたように記憶しているんだけど(確か表現は「でっちあげる」)、つい手元足元を見て現実的な提案とか動き方をしちゃうんだけど、結局それじゃ現実的な結果しか返ってこないんだよね。 背伸びも時には重要、って言えばいいのかなあ…口当たりよく書くならば。あ、っていうか正確に書くと香具師じゃなくて興行師なんだけど。

 連続的な成長ではなく、非連続的な成長を。なんかコンサルとかが好きそうなセリフだけど、でも非連続的ってことは理屈だけで考えると選ばない…となると本当は嫌いなのかな?その辺よくわかりませんが。
 

 この辺りを深く書いていくとここだけで2時間くらいかかっちゃいそうだけど、すんごく悪い書き方をするならば、我々みたいな人種はオリバー君みたいなもんを扱っているという自覚が必要だなということです。オリバー君には全く中身はなかったけれど、ある局面では中身の有無なんてそこまでたいした話じゃなかったりもする。というか中身は「あったほうが楽」なんです。だって本物なんだもん、リスクがないでしょ。でも中身がなくてもやりきっちゃう、という方法もあるし、それをバカにするべきじゃないなーと。まあこんな事実名じゃとても書けないんですが、興行師やるなら康芳夫やら神彰みたいな怪しさもないとね、ということです。永島さんじゃなくてね。つーか今の僕の世代でサブカルマニアじゃない限りこの辺の人の事なんて誰も知らんよな。別に知らんでいいけど。

 ただ大前提として、嘘は嘘でもお客さん喜ばせないとだめね。上にも書いたけど実力あるものをそのまま売るってのは発掘は大変だけど、そりゃ実力あるなら売って当然でしょ…とかいって今は実力ある人が腐るほどいるからそうでもないんだけどさ、そうそう脱線するけど実力があるかないかって判断基準自体がもしかしたら「実力がある人が少ない時代」の遺産なのかなーとたまに思ったりもします。それが差別化になっていたという意味でね。
 要するに興業の肝は「どれだけいいものを見せるか」だと思ってる人が多いんだけどそれは違って、「他とどれだけ違うものを見せるか」なんだと思うのよね。それは歌唱力でも演奏力でもいいんだけど、それだけじゃないってこと。うわーこれって結構真理だと思ってるんだけどこんな所でぽろっと書いちゃっていいのかしら(と調子に乗る)。


 えーっと、なんだっけ。そうだにーちゃんとお茶して謎のカレー麺食ったところだ。この日は夜に結局予定を入れられず、由子先生も明日会うしなーという事で、だらだらすることに決めたんです、確か。
 で、一旦宿に戻ってマッサージを予約し、ワインを買い出しに。マッサージは定評ある(らしい)Dragon Flyという店にしました。アクセス悪くない所にあるし、英語通じるし、1時間168RMB(2000円ちょい)とそこまででもない。サービスは、満点あげてもよいでしょう。別に感動するってものでもないけど、ちゃんと気持ち良くしてくれて(って普通のマッサージですからね!)。

http://www.dragonfly.net.cn/
Dragon Fly

 このリンク探す時に思ったけど、欠点はあれだな、ウェブがダサい。ま、次も行きますよ多分。あと営業時間もかなり長かったんだな。夜遅くまでやってたはず。飲んだ後でもOK…って本来はダメなんですよ、飲んだ後のマッサージは。血流よくなりすぎますからね。

 この時は確かそうだ、ワインを先に買ったのでした。久光というわりと高級日系デパートの地下にENOTECAが入っててさー張り込むかな、と思ったらため息出るほど高かったので諦めてその場で検索、見つけた500mくらい横の…アレはなんだ、たしかリッツかなんかの下のスーパーです。ここも高かったけど…っていや多分ワイン全般が高いんだと思う。普段あんまりワインなんて買わないから相場を知らないけど、日本でカスみたいな値段で売ってるYellow Taleが3倍くらいだったり、アメリカでこれまたカスみたいな値段で売ってるBehringer(ベリンジャーっていうんだって)がまた3倍だか4倍だかの値段で売っててぐぬぬぬ、ってなりました。

 ひとつ擁護をしておくと、これは流通の問題である可能性はあります。前どっかで書いた気がするけど日本でバカみたいに高いドイツビールが上海ではわりと色んな所でそこまででもなく飲めたりするので。要するにちゃんと流通の会社が入って量を扱ってれば値段も下がるけど、そうじゃない並行みたいな感じだとどうしてもやたら高くなるんですね。だから日本なんかではサッポロが入れてるYellow Taleなんかが安いのは当然なわけです。なんか一時期どこのコンビニにも宣伝と共にあったような記憶があるもんね。
 そう考えると1000円だからいいワインじゃない、ってわけじゃないし、その逆もしかり。値段てアテにならないものですねー、という片づけやすい結論に落ち着いてしまいます。そういわれても困るんだけどね。

 まあそんなわけでもう何を信じればいいのかよくわからなかったので、適当に知らないブランドの3000円くらいのワインを買って、飲んだのです。それなりに美味かったけどね…とかいって今軽くぐぐったらやっぱ1000円くらいやな、元の値段。中国住んでたらこの辺が困りそう…って家でワイン飲まないけどさ。

 ま、マッサージしてもらってホカホカして、家帰ってワイン飲みながら適当なもの食って、風呂に浸かりながら長電話して本読んで…という、あまり上海でやらないこのクソだらけっぷりも、たまにはよいでしょうという日でした。

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